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フランク・ロイド・ライト8作品が世界遺産に登録されました【木心通信Vol.122】

2019.10.03

最終更新日:2023年4月10日

住宅営業部 沖陽造

 

近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライトの8作品が「20世紀の近代的な建築デザインの発展に重要な役割を果たした」と認められアメリカの世界遺産に登録されました。

その8作品を紹介させていただきます。

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ユニティー・テンプル Unity Temple

この作品は1904年アメリカ イリノイ州シカゴ郊外のオークパークに建っています。

ユニティ テンプルは、フランク・ロイド・ライトが最初に手掛けた大規模公共建築物。今も、ライトの最高傑作の 1 つとされています。メインロードのひとつに面しています。建物の中は、足を止めるほどすばらしいディテールに目がいきます。ステンドグラスの窓から家具に至るまで、すべてライトのデザインです。外の雑音を遮るため、一階部分に窓は設けられていません。壁の上部や屋根に付けられたステンドグラスの窓から、自然光が降り注ぎます。建物の空間は効率的でありながら広く見えるよう考えて設計されました。この空間利用法は、ライトのトレード マークの 1 つです。

ユニティ テンプルは、今もユニテリアン ユニヴァーサリストの信徒が所有し、教会として使用されています。

2018.9月渡米時撮影 ロビー邸

 

フレデリック・C・ロビー邸 Frederick C. Robie House

この作品は1906年アメリカ イリノイ州シカゴ南部のシカゴ大学キャンパスの角に当たる部分に建っています。

この住宅はライトの初期の作品で、ライトが提唱する「プレーリースタイル」住宅の代表的な建物です。ちなみにプレーリースタイルとは、ライトの故郷であるシカゴ北部ウィスコンシンの大草原になじんで建つような水平線を強調した外観と豊かな内部空間がある住宅作品のことをいいます。その特徴としては、建物の高さを抑え、低く長く延ばした軒の水平線を強調した佇まいからなる内外の一体化や、内部の部屋同士を完全に区切ることなく、一つの空間として緩やかにつないでいることなどが特徴です。

ロビー邸は横への強い広がりを感じることができる細長いレンガで作られた家で、20世紀建築のベスト10に入る素晴らしい建築のひとつとして知られています。ライト自身もアイデアを全て注ぎ込み実現することができた完璧な作品のひとつで、ライトファンには見逃せないスポットとなっております。

2013.6月渡米時撮影 タリアセン

 

タリアセン Taliesin

この作品は1914年ウィスコンシン州のライトの母親一族所有の土地の上に、ライトの住居兼スタジオとして建てられました。「タリアセン」とは、建築家フランク・ロイド・ライトが設計し弟子たちとともに建設した設計工房および共同生活のための建物です。1932年から自給自足の共同生活を営みながら、建築教育と実践を行なってきています。ウィスコンシン州の厳しい寒さを逃れるための「冬の家」として37年からアリゾナ州の砂漠のなかに建設された《タリアセン・ウェスト》の二つの拠点があります。タリアセン・ウェストが完成してからは、ライトらは毎年2回キャラヴァンを組み、ウィスコンシン州とアリゾナ州の間の大移動を繰り返した。ライトの死後も、ライトの意思を引き継いだライト財団のもとでタリアセンにおける共同生活は続けられており、世界中から集まった建築学生が、ライトの唱えた「有機的建築」について学んでいます。

2018.9月渡米時撮影 ホリホック邸

 

バーンズドール邸(ホリホック邸) Hollyhock House

この作品は1917年設計され、Hollyhock House(ホリホックハウス=立葵の家)という愛称で呼ばれています。

立葵の花をモチーフとした幾何学デザインが、外壁や窓ガラス、家具などの至るところに飾っていて、建物を訪れる人たちに強い印象を残しています。この建物は、翌1918年に設計された山邑邸(現・ヨドコウ迎賓館)との類似点が数多く見られ、同様に丘の上の斜面に立っています。丘の頂に建つため、陽光を受けやすく外周壁の窓を最小限にとどめています。その代わりに、内側に囲われた涼やかな中庭に面して大きな面積のガラスの開口を用いている点と、部屋と部屋相互を、巧みな床の段差や部分によっては極端に低い天井でダイナミックに空間を切り替えながら連続させる設計手法で実現しています。

2014.9月渡米時撮影 落水荘

 

落水荘 Fallingwater

この作品は1936年にペンシルバニア州のミルランに建てられた作品です。

第2黄金時代のきっかけとなった作品。

ベアランと呼ばれる川にある滝の上に建てられており、リビングにある階段からは、直接、水辺に降りることができるようになっています。このような建てものは、なかなか見ることがなく、ライトが研究し続けた「有機的建築」の真骨頂です。

メインのリビングは4面に窓があり、床は石でできており、水辺を見下ろすテラスは、左右両側から出ることができ、屋内の空間が屋外とつながり、広がっています。リビングは広々としていながら、とても居心地がよい空間です。どの部屋にいても、敷地にそびえ立つ石のコアの存在感を感じる。石のコアを背景にして、くつろぎ、英気を養う空間が広がっています。それもそのはずです、この家は設計依頼者カウフマン家にとっては、週末の休暇を過ごすための家だったのです。

2018.9月 渡米時撮影 ジェイコブス邸

 

ハーバート・キャサリン・ジェイコブス邸 Herbert and Katherine Jacobs House

この作品は、1936年 アメリカのウィスコンシン州マディソンに建てられました。
ライトの後期の建築スタイル。富裕層向けの初期の作品と違い平均的なアメリカ家庭に求めやすい価格の住宅)と言われています。

自然と環境に溶け込んだ『有機的建築』で、道路側の窓は小さく、庭側の窓は開放的になっています。
建築コストを押さえる為、無駄なものは省いているのですが、素敵な建物です。
後にライトは彼らのために二件目の邸宅を作ったためこちらは「Jacobs Ⅱ」と呼ばれています。

2018.9月 渡米時撮影 タリアセン・ウェスト

 

タリアセン・ウェスト Taliasin West

この作品は1937年にアリゾナ州スコッツデールに建てられました。

この建物はタリアセンがあるウィスコンシン州の厳しい冬から逃れるために建てたものです。タリアセン同様設計工房および共同生活のための建物で寝袋を広げキャンプしながらの共同生活を行っております。ちなみに女性は建物の中の宿舎が専用となっており、男性はキャンプで過ごしています。

またフランク・ロイド・ライト財団本部がこちらに置かれています。

ライトが「砂漠の荒石積み工法」と呼んだ方法で作られています。

型枠の中に、この地域で採れた巨大な石を表面に露出するようにランダムに配してコンクリートを流し込む方法で、その表面には色も形も大きさも違う石のモザイク模様が現れています。石積みの上にレッドウッドの梁を架け、白いキャンパス生地を張って屋根が作られていました。近くに三角形のプールがありますが、それはキャンパス生地を張り直す時に湿らせるためのものです。

タリアセン・ウエストの敷地の中には、ライトが設計したラルフ・ジェスター邸が1971年に建てられています。

ソロモン・R・グッゲンハイム美術館 Solomon R. Guggenheim Museum

この作品は1959年にニューヨーク5番街に建てられたライトの後期の作品です。

この作品は残念ながらライトは亡くなってから完成したので、本人が見届けることが出来ませんでした。

建物は巻貝のように階段のない螺旋状な構造になっており、基本的に上から下へ回りながら展示物を鑑賞するユニークなスタイルとなっております。

一階から見上げると天井からの採光がきわめて印象深い鑑賞空間を生み出しています。コンクリートの壁が、継ぎ目なく流れるように螺旋を形成してゆく斬新(ざんしん)なデザインは、従来の構造システムから完全に自由な設計の可能性を大規模かつ具体的に提示したものです。さらに構造的、造形的、空間的な理念を緊密に統合した鉄筋コンクリートの造形という点で、グッゲンハイム美術館は、その後の建築に大きな示唆を与える記念碑的な建物となりました。ライトの後期建築のなかでももっとも重要な作品の一つとされております。

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海外研修に参加させて頂き、これらの建物を実際に見ることが出来たのは私の財産です。世界でライトが改めて評価され、建築思想を継承した『オーガニックハウス』に携れる事に誇りを持ち、改めて気を引き締めて精進していきたいと思います。

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