平尾工務店が家づくりを通して学んだこと 二 いつくしむ

【木と土と紙でできた日本の家】

平尾工務店が2002年から発行している、「木心通信」というニュースレターがあります。その紙面で折りにふれてご紹介してきたのが、兵庫県下に残る古い民家や建造物などです。平尾が建てたわけではないそれらの建物を、皆様に知っていただこうという企画には、社長の平尾博之の強い意思が関わっています。その思いを、平尾はこんな風に語ります。

『日本の家は基本的に木と紙と土でできています。ヨーロッパで主流だった石などと比べると、一つ一つはとてももろい材料です。でも日本人は、そのもろいはずの材料を巧みに組み合わせて、百年二百年という寿命をもつ建物をつくり上げました。その知恵は私達が世界に誇るべきものですし、そこにこめられた伝統の技を日本人の財産として、きちんと継承していかなくてはなりません。

ではその継承は誰がするのか。家づくりに携わる者として、誰かがやってくれるだろうでは済まされません。私達も過去の素晴らしい遺産を未来へつなぐお手伝いをします、そんな決意表明として、木心通信の中で古い建築の素晴らしさをご紹介することにしたのです』。

【自然を征服するのではなく、寄り添ってきた日本人】

さらに平尾は日本人は家づくりをする際に、自然との一体感を何より大切にしてきた、と語ります。

『環境の厳しいヨーロッパなどの国々では、住居とは自然から人間を守るためのものでした。一方、温暖な日本では、住居の中にいかに上手に自然を取り入れるかが工夫されてきました。障子越しの柔らかな光、風を呼び込む通り庭、内でもない外でもないファジーな空間である縁側など、日本人は自然とつきあうことがとても好きですし、得意ですよね。

だからこそ、木であり土であり紙なんです。どれもとてもやさしい材料でしょう?朽ちれば自然に還るものでもあります。そんな風に日本人が大昔から育んできた感性に添った家を、私達は建てたいと思っています。そうするとやはり、木と土と紙を極めることにつながっていくのです』。

【匠の心が息づく家】

木と土と紙。それらを適材適所に使いこなしていくのは、大工、左官といった職人達です。平尾工務店では、匠達のもつ伝統の技を、現代の家づくりに活かす方法を、スタッフ全員で追究しています。

これまでにも、実家を支えていた古い梁を新しい住まいに活用してほしい、皮つきのままの曲がった木を面白く使ってほしいなど、数々のリクエストがありましたが、匠達は見事に応えてきました。

そんな匠達が信じているのは、愛情を持って仕上げた家は性格の良い家になるということ。お客さんをしっかりと守ってくれよ、という願いをこめてつくれば、家もきっと応えてくれると心から信じているのです。

いま残っている古建築も、きっとそのようにして建てられたに違いない、匠達を見ているとそんな気がしてきます。一つ一つの材料をいつくしみながら建てること、自然に対して謙虚になること、それが、心を落ち着かせる和みの空間をつくり出すと、私達は信じています。

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